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会社の資格取得支援と報奨金は、どのくらいが相場か

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会社の資格取得支援と報奨金は、どのくらいが相場かの要点をまとめた図

資格の講座代を調べていると、ある前提によくぶつかります。会社が出してくれるなら、という前提。受講料を出す制度はあります。合格したときの報奨金を出す会社もあります。ただ、金額はほとんど表に出てきません。求人票にあるのは「資格取得支援制度あり」の一行だけ。いくら出るのかは、入社してみないと分からない。

そこで、この「あり」の中身を金額に置き換えました。使ったのは2026年8月時点で公表されている数字だけです。厚生労働省の令和7年度能力開発基本調査。厚生労働省が掲載している人材開発支援助成金のリーフレット。国税庁のタックスアンサーと所得税基本通達。資格手当と報奨金の金額を一覧で公開している企業の公式ページ。出どころは以上4か所。まとめサイトや求人媒体の数字は使っていません。

調べはじめて、すぐ壁にあたりました。個別の会社で金額まで公表しているところが、ごく少数だったからです。相場は統計から出しました。公表例は、その答え合わせに使っています。

結論

2026年8月時点で確認できた公式の数字では、自己啓発の費用補助を受けた人の平均補助額は年42,000円でした。いっぽう会社側が自己啓発支援に使っている金額は、労働者一人あたり年4,000円です。この10倍の差は、支援が全員に配られるのではなく、申請した一部の人に集まっていることを示しています。資格取得に対する報酬(報奨金にあたるもの)を用意している事業所は正社員向けで40.5%。金額まで公開している企業では、月額の資格手当が1,000円〜20,000円、合格時の一時金が10,000円〜50,000円という水準でした。

この記事でわかること

  1. 補助を受けた人の平均補助額は年42,000円
  2. 会社の支出は労働者一人あたり年4,000円で、10倍の開きがある
  3. 資格取得への報酬がある事業所は正社員向けで40.5%
  4. 受講料の会社負担は非課税、報奨金は給与として課税される

補助を受けた人の平均は年42,000円

調査はどのくらいの規模か

まず、受け取る側の金額から。厚生労働省の令和7年度能力開発基本調査を見ます。この調査は労働者本人に聞いています。自己啓発にかかった費用と、会社などからの補助額。調査時点は令和7年10月1日。有効回答数は3つに分かれます。企業調査が7,452企業(有効回答率52.6%)。事業所調査が7,194事業所(54.2%)。個人調査が20,127人(43.9%)。

令和6年度に自己啓発を行った人の割合が出ています。労働者全体で35.5%。正社員は43.3%、正社員以外は15.9%。そのうち費用の補助を受けた人は、労働者全体で42.9%。正社員は45.1%、正社員以外は28.1%。労働者全体を分母にすると、補助を受けた人は15%程度。当サイトで両者を掛け合わせた数値です。

肝心の金額が次です。

区分・自己啓発を行った人・費用の補助を受けた人・平均補助額の表
区分 自己啓発を行った人 費用の補助を受けた人 平均補助額
労働者全体 35.5% 42.9% 42.0千円
正社員 43.3% 45.1% 42.4千円
正社員以外 15.9% 28.1% 37.6千円
男性 40.3% 43.6% 46.4千円
女性 29.8% 41.8% 35.1千円

その列で最も高い値最も低い値

40代で跳ね上がり、50代で落ちる

正社員で約42,000円。正社員以外で37,600円。ここが「会社が出してくれる額」の、いちばん素直な相場です。男女差は11,000円ほど。年齢別はもっと動きます。40〜49歳の55.0千円が最も高く、50〜59歳の29.0千円が最も低い。40代でいったん跳ね上がり、50代で半分近くまで落ちる形です。

この平均補助額には注記がついています。調査の回答が金額階級で聞かれているためです。厚生労働省が各階級の中間値を使って推計した数値だ、と書かれています。最高階級の「50万円以上」は65万円として扱われています。実額の平均ではありません。推計値だという点は、頭に置いておきたいところ。

同じ調査に、自己負担額も出ています。平均延べ自己負担費用は労働者全体で28.6千円。正社員では29.6千円。分布も見てみます。「0円」が41.4%で最多。「1円以上1千円未満」が3.5%、「1千円以上1万円未満」が20.3%。「1万円以上2万円未満」が13.7%。足し上げると、2万円未満の人が78.9%。8割近くです。自己負担が0円の人が4割。補助を受けた人は4割強。多くの人は、会社の負担で完結する範囲の学習しかしていない。そういう読み方もできます。

会社が出しているのは労働者一人あたり年4,000円

支出している企業は54.4%

次は、出す側の金額です。同じ調査の企業調査に、教育訓練費用の支出状況が載っています。

令和6年度の1年間の話です。OFF-JTまたは自己啓発支援に費用を支出した企業は54.4%でした。内訳を分けます。両方に支出したのが21.5%。OFF-JTにのみが28.5%、自己啓発支援にのみが4.4%。いずれにも支出していない企業が45.5%。

金額はこうです。費用を支出した企業の平均で、労働者一人あたりOFF-JTが2.0万円。自己啓発支援は0.4万円。OFF-JTは前回の1.5万円から0.5万円上がりました。自己啓発支援は前回と同じ0.4万円。横ばいです。

10倍の開きが意味するもの

前の章の42,000円と並べます。差がはっきりします。会社が労働者一人あたりに使っている自己啓発支援費は年4,000円。実際に補助を受けた人の平均は年42,000円。およそ10倍の開きです。分母が違うので、単純な比較はできません。それでも読み取れることがあります。支援は全員に薄く配られていない。手を挙げた一部の人に集中しています。制度が「ある」ことと、自分が受け取れることは別です。

会社の姿勢そのものも数字に出ています。正社員に対する自己啓発支援費の、過去3年間の実績です。「増加した」12.1%、「減少した」3.9%。いっぽう「実績なし」が72.4%。今後3年間の見込みはどうか。「増加させる予定」28.0%に対して、「実施しない予定」が58.9%でした。OFF-JTの実績なしは48.4%。自己啓発支援は、手をつけていない会社のほうが多数派です。

制度面も同じです。教育訓練休暇制度がある企業は5.7%。教育訓練短時間勤務制度は4.7%。教育訓練所定外労働時間免除制度は4.6%。いずれも1割に届きません。しかも3つとも前回より下がっていました。下げ幅は教育訓練休暇制度が1.8ポイント。短時間勤務制度と所定外労働時間免除制度は、それぞれ1.5ポイント。

報奨金にあたる支援がある事業所は40.5%

支援の中身を分けて見る

「報奨金」という言葉は、この調査に出てきません。近いのは事業所調査の選択肢。「自己啓発を通して取得した資格等に対する報酬」。

労働者の自己啓発に対する支援を行っている事業所は81.9%。内訳を見ます。正社員と正社員以外の両方に行っているのが56.8%。正社員のみが24.1%、正社員以外のみが1.0%。支援を行っていない事業所は17.8%でした。支援の中身は複数回答です。

支援の内容・正社員・正社員以外の表
支援の内容 正社員 正社員以外
受講料などの金銭的援助 74.7% 57.6%
自己啓発を通して取得した資格等に対する報酬 40.5% 29.6%
就業時間の配慮 39.2% 37.8%
教育訓練機関、通信教育等に関する情報提供 36.7% 32.2%
社内での自主的な勉強会等に対する援助 36.5% 31.7%
自己啓発を通じて身に付けることが望まれるスキルや知識の提示 29.8% 24.7%
自己啓発の取組に対する人事考課における考慮 29.0% 18.4%
兼業・副業の推進・容認 16.7% 21.5%
教育訓練休暇(有給、無給の両方を含む)の付与 16.5% 13.5%
その他 5.2% 7.6%

その列で最も高い値最も低い値

いちばん多いのは受講料の金銭的援助。正社員向けで74.7%です。資格を取ったことに対する報酬は40.5%で、2番目。支援を行っている事業所のうち、費用を出すところは4分の3。合格にお金を出すところは4割。そういう構図です。

全事業所を分母にすると、どうなるか。支援そのものを行っている事業所が81.9%です。そこに40.5%を掛けます。資格取得への報酬がある事業所は33%程度、という概算になります。当サイトの計算です。実際には正社員を雇用する事業所を分母にした数値なので、あくまで目安。3社に1社。それほど珍しい制度ではありません。

お金は出すが、休みは出ない

いっぽう、教育訓練休暇の付与は16.5%にとどまります。お金は出すが、休みは出さない。その傾向がはっきり出ています。平日に試験や講座がある資格を狙うなら、この差は実務上けっこう効いてきます。

ポイント

「資格取得支援制度あり」という表記は、この表のどれか1つでも当てはまれば書けてしまいます。情報提供だけ、人事考課で考慮するだけ、という会社も含まれます。金額が出るのかどうかを知るには、受講料の援助なのか、合格後の報酬なのか、その両方なのかを分けて聞く必要があります。

金額まで公表している会社は少ない

金額を載せない会社が大半

では、個別の会社はいくら出しているのか。ここが今回いちばん手こずりました。採用ページに「資格取得支援制度」と書いている会社は多くあります。「資格取得報奨金」もよく見かけます。ところが金額まで載せている会社が、ほとんどない。2026年8月時点で探したかぎり、ごくわずかでした。

たとえばメイテックの新卒採用サイトです。資格支援制度として「公的資格取得奨励金制度」があります。技術士や各種技能検定、情報処理試験などの取得をサポート。資格を取得したエンジニアには奨励金を支給する、と書かれています。ただし金額の記載はありませんでした。制度の存在は公表するが、額は公表しない。これが標準的な書き方です。

そのなかで1社だけ、対象資格と金額を一覧で公開していました。Sky株式会社です。同社のキャリア採用サイトに「資格手当」のページがあります。月額支給の手当と、取得時に支給される一時金の報奨金。それが資格名ごとに表になっています。ページには「2026年5月現在」と明記されていました。

区分・資格の例・金額の表
区分 資格の例 金額
月額手当 情報処理技術者試験(高度)各区分、情報処理安全確保支援士試験 月10,000円
月額手当 応用情報技術者試験 月7,000円
月額手当 基本情報技術者試験、情報セキュリティマネジメント試験 月5,000円
月額手当 ITパスポート試験 月3,000円
月額手当 1級施工管理技術検定(電気通信工事・建築・電気工事) 月10,000円
月額手当 日商簿記1級/2級/3級 月7,000円/3,000円/1,000円
月額手当 弁理士、公認会計士、中小企業診断士、社会保険労務士 各月10,000円
月額手当 教育情報化コーディネータ1級 月20,000円
報奨金 情報処理技術者試験(高度)各区分、情報処理安全確保支援士試験 各50,000円
報奨金 1級施工管理技術検定 50,000円
報奨金 AWS Professional系、Azure Expert系 各50,000円
報奨金 Cisco CCNP/CCNA 30,000円/10,000円
報奨金 医療情報技師(上級)/医療情報技師 30,000円/10,000円

その列で最も高い値最も低い値

月額手当には条件がついています。「一番高額な資格1つのみ支給」「管理職は手当支給対象外」。報奨金のほうには、更新時報奨金が設定されている資格があります。Cisco CCIEやAWSのProfessional系は、更新時も50,000円。Azure系は15,000円。情報処理技術者試験(高度)には注記もあります。2つ目以降の取得時は、受験料に加えて報奨金50,000円を支給する。情報処理安全確保支援士の登録・更新時も同じです。登録・更新費用に加えて、報奨金50,000円。

受験料と並べると重みが見える

この表を受験料と並べます。すると報奨金の重みが見えてきます。IPAの案内によれば、受験手数料はいずれも7,500円。情報処理技術者試験と、情報処理安全確保支援士試験です。前者は消費税込み、後者は非課税。高度区分に合格すると、報奨金50,000円と月額手当10,000円。受験料の6倍以上が一時金で戻ります。その後は毎月10,000円が加算されます。年間120,000円。講座代を含めた取得費用を1年で回収できる水準です。

もっとも、これは1社の例にすぎません。平均補助額は42,000円。この報奨金50,000円。近い数字ではあります。それでも1社をもって相場と呼ぶことはできません。

国の助成金にも「資格等手当」という条件がある

会社が資格取得を支援すると、国から助成金が出ます。厚生労働省の人材開発支援助成金です。2026年8月時点で掲載されているリーフレットを見ます。資格取得に関係する部分を抜き出しました。

コースと訓練・経費助成率・上乗せ・限度額の表
コースと訓練 経費助成率 上乗せ・限度額
人材育成支援コース/人材育成訓練(正規雇用労働者等) 45%(大企業30%) 賃金要件・資格等手当要件を満たすと+15%、賃金助成1人1時間800円(大企業400円)
人材育成支援コース/人材育成訓練(有期契約労働者等) 70% 要件を満たすと+15%
人への投資促進コース/自発的職業能力開発訓練 45% 要件を満たすと+15%、賃金助成なし
人への投資促進コース/高度デジタル人材訓練 中小75%・大企業60% 資格取得費用も助成対象と明記

その列で最も高い値最も低い値

「資格等手当要件」という加算

注目したいのは、リーフレットの注記にある「資格等手当要件」です。条件は3段構えでした。資格等手当の支払いを就業規則等に規定すること。訓練修了後に、受講者へその手当を支払うこと。支払い前後の賃金を比べて、3%以上上昇していること。これを満たすと助成率等が加算される、と書かれています。国は、受講料を出すだけの会社を厚く助成していない。資格手当という形で継続的に賃金を上げた会社を、厚く助成する設計です。前章のSky株式会社のような月額手当は、この要件にそのまま乗ります。

「自発的職業能力開発訓練」も見ておきます。労働者が自発的に受講した訓練の費用を、事業主が負担した場合の助成です。経費助成率は45%。受講者1人あたりの経費助成限度額は、実訓練時間数に応じて7万円〜20万円。同じコースの高度デジタル人材訓練は、規模で分かれています。中小企業30万円〜50万円、大企業20万円〜30万円。ところが自発的職業能力開発訓練は分かれていません。中小企業も大企業も同じ7万円〜20万円でした。1事業所1年度あたりの限度額のうち、自発的職業能力開発訓練は300万円まで。受講回数は1年度3回までです。人への投資促進コース自体が、令和4〜8年度の期間限定助成。その点もリーフレットに明記されていました。

受給企業のほうが支出も多い

助成金の有無は、実際の支出額にも表れています。同じ能力開発基本調査の特別集計です。人材開発支援助成金を受給したことがある企業の自己啓発支援費は、労働者一人あたり0.7万円。受給したことがない企業は0.3万円。OFF-JTでも2.4万円対2.0万円。受給企業のほうが上です。

受講料の負担は非課税、報奨金は給与

非課税になる3つの条件

金額と同じくらい大事なのが、税金の扱いです。同じ「会社が出してくれるお金」でも、扱いは分かれます。受講料の負担と、報奨金。

根拠は国税庁の所得税基本通達36-29の2です。使用者が業務遂行上の必要に基づいて支給する金品の話です。対象は、役員や使用人にその職務に直接必要な技術や知識を習得させる費用。または免許・資格を取得させるための費用です。研修会・講習会等の出席費用、大学等における聴講費用。これらに充てるものとして支給する金品。費用として適正なものに限り、課税しなくて差し支えない。通達はそう書いています。会社が講座代や受験料を負担する分は、この範囲なら給与として課税されません。

条件は3つです。ひとつは「業務遂行上の必要」。ふたつめは「職務に直接必要」。みっつめは「これらの費用として適正なもの」。趣味の資格は対象外です。職務と無関係な学習も同じ。

学資金として支給する場合は、別の条件になります。タックスアンサーNo.2588に示されています。通常の給与に加算して支給する費用であること。役員や特別の関係がある人だけを対象にしたものでないこと。本来支給すべき給与を減額して学資金として支給する場合は、課税対象になります。そこは明記されていました。根拠は所得税法9条、所得税法施行令29条、所得税基本通達9-14〜16。

報奨金は給与のあつかい

いっぽう報奨金は、費用に充てるものではありません。合格したという事実に対して支払われる金銭です。36-29の2が想定しているのは「費用に充てるものとして支給する金品」。報奨金はそこに当たらない、という整理になります。国税庁のタックスアンサーNo.2508も見ておきます。手当は原則として給与所得になる、と説明しています。非課税の例外として挙げられているのは3つだけ。一定額までの通勤手当。通常必要と認められる転勤・出張旅費。一定額までの宿直・日直手当。月額の資格手当も、名前は手当ですが給与そのものです。

注意

報奨金50,000円が振り込まれても、手取りは50,000円ではありません。給与として源泉徴収の対象になり、社会保険料の算定にも影響します。手当が毎月加算される場合はなおさらです。逆に、会社が受講料を直接支払う、あるいは領収書と引き換えに実費を精算する形なら、適正な範囲で非課税として扱われます。同じ金額でも、受け取り方によって手元に残る額は変わります。

会社が出さないときに残る手段

教育訓練給付という別ルート

支援が受けられない場合の選択肢も見ておきます。公式に確認できる範囲だけです。

住んでいる市区町村が出している場合もあります。
一般型で上限2万円〜15万円、介護と保育はさらに厚いという水準でした。

ひとつは教育訓練給付です。厚生労働省のページに支給率が出ています。専門実践教育訓練は受講費用の50〜80%(年間上限40〜64万円)。特定一般教育訓練は40〜50%(上限20〜25万円)。一般教育訓練は20%(上限10万円)。会社の補助の平均は42,000円でした。対象講座なら、給付のほうが大きくなることは珍しくありません。実際にいくら戻るのかは講座と区分で変わるので、そこは別記事にまとめました。手続きのほうも早めに要ります。最初の受給資格確認は受講開始日の2週間前まででした。

特定支出控除は間口が狭い

もうひとつは、確定申告での特定支出控除です。タックスアンサーNo.1415を見ます。給与所得者の特定支出は7種類。そのなかに資格取得費と研修費が入っています。資格取得費は「職務に直接必要な資格を取得するための支出」です。ただし、控除できる範囲はかなり狭い。特定支出の合計額が、給与所得控除額の2分の1相当額を超えること。超えた部分だけが対象です。しかも給与の支払者、またはキャリアコンサルタントの証明が要ります。給与所得控除額の半分を、資格の費用だけで超えるのは難しい。使える人は限られます。

そして、そもそもの支出を下げる手もあります。通信講座と通学スクールでは総額が違う。スクールの割引でも実額はそれなりに動きます。会社の補助は年42,000円。講座を1段安いものにするだけで、同じ効果が出ることもあります。

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資格手当の平均額は公的統計が見つからない

実施率40.5%は出ているのに、金額の分布がない。資格手当の平均額は、公的統計のほうに見当たりませんでした。

  • 資格取得報奨金の金額の全国的な相場。厚生労働省の能力開発基本調査は「自己啓発を通して取得した資格等に対する報酬」を実施率(40.5%)でしか集計しておらず、報奨金そのものの金額分布は公表されていませんでした。本文の42,000円は補助額全体の平均であって、報奨金の平均ではありません。
  • 資格手当の支給状況と平均額の公的統計。東京都産業労働局の「中小企業の賃金事情(令和7年版)」に賞与・諸手当の集計がありますが、公開されているPDFの本文が読み取れず、資格手当の項目があるかどうかを確認できませんでした。
  • 個別企業の資格取得報奨金の金額。採用ページに制度名を載せている会社は多数ありましたが、金額まで一覧で公開していたのはSky株式会社だけでした。メイテック、大塚商会、SCSK、システナ、ツクイの各公式ページも確認しましたが、金額の記載は見つかっていません。大和ハウス工業と大東建託のページはアクセスできませんでした。
  • 資格取得報奨金を名指しで扱った国税庁のページ。報奨金の課税関係については、所得税基本通達36-29の2が対象としている費用の範囲と、タックスアンサーNo.2508の給与所得の説明から読み取りました。「資格取得報奨金」という語で書かれた国税庁の解説は見つけられていません。

相場をどう受け取るか

数字から言える3つ

数字を並べて言えることは、3つです。

1つめは、相場そのものが高くないこと。補助を受けられた人で年42,000円。会社の支出は労働者一人あたり年4,000円。宅建やFP2級の講座代は数万円から十数万円かかります。会社の支援だけで全部まかなえる想定は、持たないほうが無難です。簿記2級と宅建の取得費用を比べた記事でも同じでした。資格ひとつの総額は、補助の平均を上回ることが多くあります。

2つめは、制度の「あり」と金額が別だということ。支援を行っている事業所は81.9%。資格取得への報酬まで用意しているのは40.5%。教育訓練休暇を付与しているのは16.5%。求人票の一行では、この差は見えません。受講料の援助か、合格後の報酬か。休暇は出るのか。この3点を分けて聞くだけで、実態はかなり絞れます。

3つめは、受け取り方で手取りが変わること。受講料を会社が直接負担する形なら、適正な範囲で非課税。報奨金として現金でもらえば給与課税。金額が同じでも、残る額は違います。会社に相談できる立場なら、報奨金より受講料の直接負担です。実質的にはそのほうが得になります。

会社の支援は、あてにできれば助かります。ただ、金額としては全体の一部を埋めるもの。使えるなら使う。足りない分は、給付制度と講座選びで詰める。そのくらいの位置づけが、数字に即した見方だと思います。

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